熱望と敬意の調和
教育や職業上の向上を求めて大挙して海外に向かおうとしているブータン人の期待が高まる中、精神的な説話や文化的ルーツへの関心が再び高まるという、心の痛む変化が現れている。
ブータンの移民コミュニティの中に国の精神的遺産に対する深い敬意を注ぎ込みながら、個人の目標を実現する過程での心の平静への憧れが、注目すべき傾向を引き起こしている。
進化するこの話題の中でひときわ目立っているのは、ブータンの願望の構造に織り込まれている神聖な丘の頂上ルンチュツェ(Lungchutse)である。
住民や観光客が散在する中で、この丘の海抜 3,569 メートルの高さは、その天上のものとは信じられない意味のあるものである。 ここには、尊敬されるラカン、神聖なチョルテン、そして瞑想的な火葬場があり、歴史的な象徴の 3 つがあり、それぞれがその独特の物語を語っている。
ルンチュツェへの巡礼に出発するには、ドチュラのドゥク・ワンゲル・チョルテン(ブータン勝利記念仏塔、2004年建立)から2時間の登り坂の歩行が必要である。 旅は、シャクナゲ、ジュニパーの木々が生い茂るタペストリーのような緑豊かな林に包まれて、菌類と鳥類の合唱が展開する。 その間ずっと、色とりどりの祈祷旗が風に合わせて踊り、自然と精神性が調和のとれた関係で絡み合う道に旅行者は導かれる。
この詩的な旅の最高地点は、テルトン・ドゥクドラ・ドルジ(Tertoen・Drukdra・Dorji)の芸術性の証しで崇拝される寺院である。 17 世紀から 18 世紀にかけて建設されたこの聖域は、超越的なグル・パドマサンバヴァ、またはグル・ンガー・ドラマを中心的指導者として祀っている。 テルトン・ドゥクドラ・ドルジの歴史的重要性はさらに重大になる。尊敬される仏教聖人であり、その予言の知恵はブータン第4代国王の誕生と統治を予告し、その名をブータンの運命の歴史そのものに刻み込まれている。
しかし、雄大な寺院の下方には、2003 年に建設された控えめながらも力強い記念碑である願いを叶えるチョルテンがある。ドルジ・ワンモ・ワンチュク皇太后陛下の見守る中、この記念碑に、プナカ・ゾンの遺物を運び込んでいるとささやかれている。 その祝福に与るために、信者たちはその周囲を9 周し、各ステップで自分たちの願望を空に刻み込む。 そして、チョルテンの慈悲に対する集団的な信仰が、その古代の石に希望を託す巡礼者や訪問者の絶え間ない流れに火をつけている。
この信仰のタペストリーの隣には火葬場があり、控えめな敬意と記憶の宝庫になっている。 ここで、テルトン・ドゥルクドラ・ドルジは母親に最後の敬意を表し、ルンチュツェの神聖な場所の間のつながりの糸をさらに織り上げた。
しかし、精神的な憧れや文化の再結合が盛んになるにつれて、課題も増えている。 この丘の人気の高まりにより、水不足と廃棄物管理に対する懸念が高まっている。
ラム・ウジェン・ペンジョールさんの声が響き渡り、険しい地形で給水ポンプが直面する困難な戦いを詳細に伝えている。 寺院は厳しい制約の中でブータン流のもてなしを広めようと努めているが、雨水の収集は一時的な救済となっている。
現在進行中のルンチュツェの話では、コミュニティ主導の問題解決が展開される。 ボランティアグループとスカウトは清潔を保つ仕事を担っている。 ルンチュツェへの道そのものは、ウィンド・ホース・ツアーズ(旅行業者)が管理者となっており、その献身的活動はメンテナンスを超えて、瞑想に適した環境の育成にまで及んでいる。
ルンチュツェを包み込む幽玄な静けさが瞑想を誘い、その感情がツァム カン(tsham khang : 瞑想の御堂)に反映されている。ツァム カンー回想の旅の外なる航海を補完する内省の聖域。 トランペットと太鼓のリズムが、ラカンが献身と儀式のリズムに共鳴し、おめでたい日や仏教の行事にアクセントを加える。
ルンチュツェの神聖な飛び地の中で、シュン・タツァン(中央仏教教団)はその遺産を見守っている。 6つの魂、ラムとツァンパがその境内に住み、寺院の物理的な構造だけでなく、その精神的な共鳴、つまりブータンの伝統、現代のダイナミズム、そして無限の願望が調和して融合したものを保存している。
ルンチュツェへの道を歩いていると、先に登ってきた人々の物語が風に乗って伝わってくる。 それはただの登山ではなく、ブータンの精神の核心へ向かう旅であり、過去、現在、未来がひとつに交わる巡礼である。
KP・シャーマ