未分類

プルパ助教授が第16回中塚医学賞を受賞

ブータン・ケサール・ギャルポ医科大学(KGUMSB)医学部のプルパ博士(助教授)が、心不全に関与する生物学的プロセスに関する博士論文の研究成果により、日本の大分大学医学部から第16回中塚医学賞が授与された。

チェンチョ・デム

ブータン・ケサール・ギャルポ医科大学(KGUMSB)医学部のプルパ助教授が、心不全に関与する生物学的プロセスに関する博士論文研究の成果により、日本の大分大学医学部から第16回中塚医学賞を授与された。

彼の研究は、心不全時において、細胞外アデノシン、および、アデノシン3リン酸ATPと呼ばれる微小な有機分子の変動を調べるとともに、小胞型ヌクレオチドトランスポーター(VNUT) と呼ばれるタンパク質を阻止することが心臓の保護につながるかどうかを検証したものである。

なお、心不全とは、身体の必要量を満たすのに十分な血液を心臓が送り出せなくなった状態を表す。

プルパ博士の研究は、心不全が進行する中で、心臓内部で何が起こっているか、特に細胞間シグナル伝達に関与するATPと細胞外アデノシンの役割に焦点を当てたものである。

「ゼブラフィッシュのモデル(優れた遺伝的類似性や透明な体を持つことから、ヒトの疾患研究や創薬において広く活用されている脊椎動物のモデル生物)は、生体内(in vivo)での心不全について理解を深める機会を与えてくれます」とプルパ博士は語っている。

このモデルを用いることで、研究チームは心機能や生物学的プロセスの変化をリアルタイムで観察することが可能になった。ゼブラフィッシュは心血管疾患研究における強力なモデルとなっており、心不全に関与する分子メカニズムの解明に有用である。

研究チームは、心不全を起こしたゼブラフィッシュにおいて、細胞外ATPおよびアデノシンのレベルが上昇していることを発見した。そこで、ATPを細胞外へ放出する役割を担うタンパク質であるVNUTに着目し、調査研究を行った。

VNUTを阻止すると、細胞外ATPおよびアデノシンのレベルが低下した。この変化は、ゼブラフィッシュモデルにおける心機能の改善、心臓内の炎症の抑制、そしてアポトーシス(心筋細胞のプログラムされた細胞死)の減少と関連していた。

アデノシンの変化をより詳細に調べるため、研究チームは蛍光センサー「GRAB-Ado」を発現する遺伝子改変ゼブラフィッシュを作製した。このセンサーにより、生きた心臓における細胞外アデノシンの変動を可視化することが可能になった。

今回の研究結果は、心不全に対する新たな治療法の可能性を示唆している。この薬剤を用いたアプローチに関連して、特許出願も行われている。

ただし、今回の研究はゼブラフィッシュを用いて行われたものであり、得られた知見が将来的にヒトの治療に応用できるかどうかを判断するには、さらなる研究が必要である。

今回の受賞は、日本での4年間にわたる博士課程の研究を経て実現したものである。プルパ博士は、その期間を「過酷で先行きが不透明なものだった」と振り返っている。高度なイメージング実験では頻繁に複雑なトラブルシューティングが必要とされ、数週間に及ぶ作業の末に実験が失敗に終わることもあった。

「最大の難関は、結果が不確かな状況下でも粘り強く取り組み、自信を保ち続けることでした」と彼は語った。

プルパ博士にとって、そうした挫折もまた学びのプロセスの一部であった。彼によれば、研究とは単に期待通りの結果を得ることではなく、何が起きたのかを理解し、その知識を活かして次の実験をより良いものにすることである。彼はこの受賞は単なる個人的な業績にとどまるものではなく、KGUMSB(ブータン王立医科大学)、大分大学の所属講座、そして博士論文研究に協力してくれた人々からの支援が認められた結果であると述べた。

「これは私個人だけでなく、私が所属する大学にとっても大きな成果です」と彼は語った。さらに、彼は、「帰国後は、日本で得た経験を活かし、KGUMSBにおける医学研究と教育の強化に取り組みたいと考えています」と語った。 具体的に彼は、高度な研究スキルを同僚や学生と共有し、科学的根拠(evidence)に基づいた臨床的に有意義な研究を奨励するとともに、国際的な連携体制のさらなる強化を図る計画である。