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ブータンの大学制度の再構築(社説)

先週、国会で大学教育に関する2つの重要な議論が行われた。この2つの議論は、国の将来にとって重要であり、国の高等教育を再考し変革する必要性に光を当てたものであった。

国会の社会文化委員会は、トンサのタクツェ(Taktse)にある言語文化研究大学(CLCS:College of Language and Cultural Studies)を維持するだけでなく、修士課程と博士課程を設置することを提案した。この勧告は、CLCSがブータン王立大学(RUB)の改革の取組みの一環として閉鎖に向かっているときに行われた。

2021年以来、RUBは就職市場に無関係と見なされるコースを段階的に廃止している。CLCSは昨年から新規入学を停止している。1,000人を収容できるように建設されたキャンパスに248人の学生しかいないため、sその大学が成すべき役割のほんの一部しか果たされてされていない。政府はこの大学の建設のために10億ニュルタムという莫大な金額を投じている。 

もう一つの差し迫った問題は、ブータンの全高校12年生のうちRUBの大学に入学できるのはわずか35%だということである。そのうち奨学金を受けているのはわずか20%で、15%は自費である。つまり、65%、つまり年間約6,718人の学生が国内で高等教育を受ける機会がないことになる。国内に選択肢がないため、彼らは海外に進学することが多く、年間推定70億ニュルトラム、5年間で300億ニュルトラムの外貨準備が流出している。

CLCS のような大学を閉鎖することが正しい解決策ではない。CLCS の卒業生の需要がないのであれば、根本的な原因を診断し、適切な対策を講じる必要がある。現在のカリキュラムは市場のニーズと一致しているか? 競争の激しい国際化した世界で成功するための技能(スキル)を学生に身につけさせているか? これらはあらゆる改革の指針に対する疑問である。

また、大学が学生に提供できる内容を多様化する必要もある。「ハードスキル」、つまり技術教育と職業教育に重点を置く大学を優先する必要がある。学位だけではもはや雇用の保証はできない。実用的で市場に関連性のあるスキルがこの保証の可能性を与える。私たちの大学での指導内容は、競争力があり、高品質であると世界的に認められている必要がある。

現在、ブータンの大学の学位は、国際的に広く認知されていない。卒業生が海外の大学院の研究科に入学するために IELTS(International English Language Testing System:国際英語力試験) などの英語テストを受けなければならないのは残念である。

高等教育に重点を置くことは重要であるが、より広範な教育エコシステム(訳者:教育の在り方について、教育に関わる学校管理者、教員、学生、(IT技術者)などの間の結びつきと協力・協調を特に重視した考え方)から切り離すことができない。問題の根源は、多くの場合、学校教育の基礎段階にある。学校が学生に十分な準備を行わなければ、高等教育機関は、世界の雇用市場で成功できる卒業生を輩出するのが難しいあろう。

高等教育の変革には、多面的な見方が必要である。CLCS のような機関は、市場に適合し、将来を見据えた教育制度で活性化する必要がある。

RUBのカレッジの入学定員を増やすことは不可欠である。これには、新しい機関の開設、既存のキャンパスの拡張、またはITテクノロジーを活用したオンラインおよびハイブリッド学習モデルを提供することを欠かすことが出来ない。

技術、職業、専門スキルに焦点を当てたカレッジを設立することで、卒業生が就職できるだけでなく、グローバル市場で競争力を持つことが保証される。

学術基準を強化し、制度を国際ベンチマークに合わせることで、大学の学位の信頼性と認知度が向上する。また、評判の高い国際大学とのパートナーシップは、このギャップを埋めるのに役立つ。

確固とした学校制度は、成功する高等教育システムの基盤である。そのためには、教員のトレーニング、カリキュラムの開発、学生サポートシステムに投資する必要がある。

そして何よりも重要なのは、長期的な新たな戦略計画が、これまでの場当たりで急いだ改革に取って代わる必要がある。