第80回国連総会で、ブータン首相は国連改革と気候変動対策を大胆に訴えた。
第80回国連総会で、ブータン首相は国連改革と気候変動対策を大胆に訴えた。
2025年9月30日
（写真：ツェリン・トブゲイ首相）
ブータンは、世界の指導者に対し、制度改革にとどまらず、今世紀最大の喫緊の課題である気候変動に対し、断固たる行動をとるよう求めた。
YK・プーデル
ブータンは、世界の指導者に対し、制度改革にとどまらず、今世紀最大の喫緊の課題である気候変動に対し、断固たる行動をとるよう求めた。
9月26日、第80回国連総会（UNGA）で演説したツェリン・トブゲイ首相は、国連改革と多国間主義の強化は不可欠だが、緊急の地球規模の気候変動対策なしには十分ではないと述べた。
「閣下の皆様、国連改革と緊急の気候変動対策は不可欠ですが、それだけでは十分ではありません。私たちは今、望む未来を改めて思い描かなければなりません」と、ブータン首相はニューヨークでの集会で訴えた。
ブータン首相は、昨日閉幕した国連総会に代表団を率いて出席した。総会は「共により良い未来を：平和、開発、人権のための80年、そしてさらにその先へ」というテーマの下、閉幕した。
11分間の演説で、首相は80年前、世界大戦後の混乱の中で国連が設立されたことを振り返った。
「今日の地球規模の課題は以前とは異なりますが、依然として喫緊の課題です。地球は気候変動危機に瀕し、貧困は根強く、紛争によって人々の命が奪われ、国家間の信頼は揺るがされています」と首相は述べた。
首相は、「代表性があり、対応力があり、効果的な」国連を求めるブータンの姿勢を強調し、インドと日本の参加を含む安全保障理事会改革への支持を改めて表明した。「私は、決議だけでなく、成果をもたらす多国間主義を求めています」と述べ、国際社会に対し、平和、安定、そしてすべての子どもたちの機会確保へのコミットメントをもって国連100周年に目を向けるよう訴えた。
気候問題の核心
ブータンの声明の大部分は、深刻化する気候危機に焦点を当てていた。首相は、国連改革によって「国連が現代の決定的な課題である気候危機に立ち向かえるよう備えなければならない」と強調した。
ブータンはカーボンネガティブ国であるにもかかわらず、すでに気候変動の影響を実感している。
「私たちは毎年、排出量の5倍以上の炭素を吸収しています。これは、私たちの国土と資源をはるかに超えるものです」と首相は述べた。「私たちの山々は、世界平均のほぼ２倍の速さで温暖化しています。何世紀も前に形成された氷河は、驚くべき速さで縮小しています。かつては安定して流れていた河川は、今では予測不能な増水により夏には壊滅的な洪水を引き起こし、冬にはしばしば干上がってしまいます」
首相は、「これらは遠い脅威ではなく、今まさにここに存在し、今まさに起こっており、即時かつ緊急の行動が必要です」と警告した。
ブータンは、パナマ、スリナム、マダガスカルとともに、世界でも数少ないカーボンニュートラル国の一つである。 4カ国は、気候変動対策への意欲を加速させるため、COP29においてG-ZEROフォーラムを立ち上げた。
「私たちのメッセージは明確です。ネットゼロはゴールではなく、出発点であるべきです」とブータン首相は述べ、世界のリーダーたちにこの連合に参加し、森林保全、再生可能エネルギー、持続可能な農業におけるブータンの最善の実践を学ぶよう呼びかけた。
国民総幸福量（GNH）と新たな都市
首相はまた、ブータンの開発哲学と気候変動の見通しを結びつけた。
「約50年前、ブータンは開発への新たなアプローチとして『国民総幸福量（GNH）』を世界に提案した。今日、国王陛下の先見の明のあるリーダーシップの下、ブータンは都市生活に代わる選択肢、ゲレプ・マインドフルネス・シティ（GMC）を世界に提供しています」と首相は述べた。
すでに構想が具体化している特別行政区であるGMCは、持続可能性、精神性、そして自然との調和に根ざした、低炭素生活のために設計された都市として構想されている。
「ブータンとブータン国民は、GMCの旅路に世界を招待します。それは、ブータン王室による地球の未来像を実現する旅であり、都市と都市生活が人類と自然の両方を癒し、刺激を与え、持続させることができるという思想です」と首相は述べた。
平和と世界の連帯
首相はまた、ブータンの平和と対話への関わりを再確認した。
「平和とは、単に戦争がない状態ではなく、すべての人にとって正義、好機(chance)、そして尊厳が存在する状態です」と首相は述べた。
ブータンは11月4日から17日まで、世界平和祈願祭2025を開催し、世界中の精神的指導者、学者、実践者らが集まる。
「ブータンは、精神的な催し物だけでなく、世界平和への外交的・文化的貢献も提供することを目指しています」と首相は述べた。