5.初等教育

 参照 Annual Education Statistics,2020 by Ministry of Education Royal Government of Bhutan 

5.1 拡張教室

 拡張教室(ECR)の導入は、特に学生が学校に通うために、長距離の道を歩かなければならない農村部や散在する村での教育環境の改善のために開始された。 ECRは、最寄りの学校(親学校)から拡張された教室であり、通常、ラカン(寺院)、地域学習センター、非正規教育(NFE)センター、外来診察所、村の家、一時的な仮設教室などで行われている。 ECRの教室は、生徒の登録が少ない複数の学年で構成され、親学校は、教員、教材、および全体的な管理の面で、ECRを支援する。

表 5.1:拡張教室の登録生徒数

性 別 生徒の数 割 合(%)
女 子 915 52.83
男 子 817 47.17
合計 1732 100.0

 2020年の時点で、全国にある74校のECRに登録されている生徒数は合計1,732人であり、そのうち915人が女性で、817人が男性である。 ECRに通う生徒数は、国内の小学校の登録対象学年の生徒総数のほぼ1%を占めている。

拡張教室の教員

 表 5.2は、2020年現在の全国のECRで教えている教員の総数を示している。ECRで教えている教員は合計133人で、そのうち77.4%が男性、22.6%が女性である。

表 5.2:全国の拡張教室における教員数

性 別 教員の数 割 合(%)
女 子 30 22.56
男 子 103 77.44
合計 133 100.0

 

5.2 初等教育

 初等教育への投資は、長期的には、社会の貧困と不平等の解消にプラスの影響を与えることが、一般的に認められている。 したがって、このことを認識して、ブータンの政府は、生徒たちの通学の歩行距離を短縮するために、生徒の住む地域社会になるべく近くなるように、小学校を設置してきた。

5.2.1 予備初等教育 (PP)

 初等教育の最初の1年間は、予備初等教育 (Pre-Primary : PP) のための学年であり、2020年以降、学年PPへの入学または登録ができる年齢は、5歳以上であることを確定させた。

 表 5.3で示されるように、2020年の時点で、初等教育の予備教育に在籍している生徒総数は16,591人である。 2019年の登録と比較して4,739人増加している。 この増加は政府が、予備初等教育の入学年齢を、6歳から5歳に引き下げたことによるものである可能性がある。

 表 5.3 : 予備初等教育 (PP) の登録生徒数(2020年度)

性 別 PPの登録生徒数 割 合(%)
女 子 8,207 49.47
男 子 8,384 50.53
合計 16,591 100.0

 

 表 5.4は、2020年の見かけの小学校受入率(Apparent Intake Rate)は138.9%であるであることを示している。 AIRは2019年の98.7%から2020年には、138.9%に増加した。この表は、6年間で全国の学年PPの再履修(PPクラスの留年が徐々に減少していることも示している。

 表 5.4:初等教育総受入れ率 (AIR)(2015年ー2020年)

年 度 登録生徒数 留年生徒数 新規入
生徒数
6歳総
児童数
AIR (%)
2020 16,591 203 16,388 11,798 138.9
2019 11,852 294 11,558 12,004 98.7
2018 13,681 357 13,324 12,975 102.7
2017 13,249 395 12,854 13,939 92.2
2016 13,565 553 13,012 14,229 91.4
2015 13,882 587 13,295 15,014 88.6

  表 5.5は、最近の6年間の予備初等教育の登録総生徒数を示している。2019年度において、PP登録生徒数が著しく減少しているが、これは、教育省が、PPに登録する正しい年齢が6歳であることを奨励したためである。一方、2020年は教育省が、PP学年に登録する年齢を5歳としたために、この年度にPP学年の登録者が急増した。

 表 5.5:PP 登録生徒数(2015年度-2020年度)

年 度 女 子 男 子 合 計 増 減
# %
2015 6684 7198 13882 707 5.37
2016 6527 7038 13565 -317 -2.28
2017 6410 6839 13249 -316 -2.33
2018 6677 7004 13681 432 3.26
2019 5830 6022 11852 -1829 -13.37
2020 8207 8384 16591 4739 39.98

 

5.2.2 初等教育(PP-VI)

 ブータンの初等教育は、予備初等教育(PP)から6学年 (クラス VI) までの7年間の学校教育で構成されている。 初等教育を提供している学校は545校あり、そのうち521校は公立学校である(これらの学校は、初等教育のすべての学年に対応する教育を提供している。)

 表 5.6:初等教育の登録生徒数

学 年 女 子 男 子 合 計
PP 8,207 8,384 16,591
I 6,204 6,337 12,541
II 6,516 6,822 13,338
III 6,240 6,379 12,619
IV 6,571 6,894 13,465
V 6,625 6,640 13,265
VI 6,353 5,993 12,346
合 計 46,716 47,449 94,165

  表 5.6 は、初等教育のすべての学年における男女別の生徒数を示している。国全体の初等教育への登録者すうは、94,165人であり、この数は国の学校への登録者数の95%を占めている。

  表 5.7 は、初等教育の各学年で登録生徒の年齢がその学年の正規の年齢である生徒の占める割合を、年度別に各学年でどのように変化したかを、示したものである。この表は、2020年度に初等教育の登録者の平均で51.9%が基準の年齢で登録をして、43.6%がより高い年齢で、4.5%がより低い年齢で、それぞれ、登録していることを示している。

 表 5.7: 年齢毎のその年齢の登録者が基準学年に占める割合

学年 基準の登録者年齢 基準年齢での登録 基準より高い年齢で登録 基準より低い年齢で登録
2015 2016 2017 2018 2019 2020 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2015 2016 2017 2018 2019 2020
PP 6 55.7 65.1 62.7 63.4 57.1 64.0 38.4 43.3 43.3 38.4 42.7 30.7 6.0 5.6 5.0 3.6 0.2 5.4
I 7 50.9 59.0 60.6 57.9 57.3 56.2 41.7 46.2 46.2 44.8 39.7 41.6 7.4 6.1 5.6 4.5 3.0 2.3
II 8 46.6 51.3 56.4 57.3 51.9 56.0 44.9 50.2 50.2 48.1 44.0 41.1 8.5 7.7 5.9 5.3 4.1 2.9
III 9> 43.5 44.3 48.5 52.1 51.3 52.0 46.6 47.0 47.0 47.4 43.9 44.1 9.8 8.4 7.6 5.6 4.8 4.0
IV 10 35.1 46.7 43.3 47.5 46.0 47.8 53.0 57.7 57.7 55.2 48.9 47.7 12.0 10.5 8.4 7.6 5.1 4.5
V 11 31.1 37.2 41.8 38.5 41.8 45.3 55.4 62.2 62.2 54.2 51.2 49.6 13.5 14.0 9.9 8.1 7.1 5.1
VI 12 28.5 32.4 34.9 36.7 38.6 42.2 58.3 59.4 59.4 54.0 5.1 50.6 13.2 15.3 13.1 9.0 8.3 7.2
平 均 41.6 48.0 49.7 50.5 49.1 51.9 48.3 52.3 52.3 48.9 39.4 43.6 10.1 9.7 7.9 6.2 4.7 4.5

 

 図 5.1 正味の小学校登録率(2015年~2020年)

 図 5.1 で示される 2015年~2020年の間の、男女の正味の小学校登録率は、お互い接近して同じ傾向にあり、2015年から2019年までは、やや減少の傾向であったが、この男女の平均値は、2020年に増加に転じ、92.9%であった。これは、初等教育において、7.1%の生徒は、6歳未満であるか、12歳以上であることを示している。

 調整された小学校登録率は99.4%であり、6歳から12歳の子供の99.4%の子供が、小学校か、中等学校か、あるいはその他のレベルの学校において、教育を受けている。

 

 図 5.2 初等教育におけるジェンダーパリティ指数(2015年-2020年)

 図5.1は、初等教育におけるジェンダーパリティ指数が、2015年度から2020年度までの間で、やや減少傾向にあることを示している。 なお、一般にジェンダーパリティ指数とは、就学者数における男子に対する女子の比率を示す指数を表している。

 2020年度におけるジェンダーパリティ指数は、0.98であり、ジェンダー格差は、僅かであるが、やや男子優位となっている。

 

5.2.3 小学校における教員

 質の高い効率的な教育のためには、さまざまなレベルの学校で適切な数の教員が配属されていることが重要である。 表 5.8は、全国の小学校で教鞭をとっている教員の総数が2793人であり、そのうち93.1%が公立学校、6.9%が私立学校の教員であることを示している。 ただし、中等学校で初等教育レベル(PP-VI)を教えている教員はこの表の中の数字に含まれず、代わりに中等学校の教員として見なしている。

 表 5.8 : 小学校の教員数(2020年度)

学 校 女 性 男 性 合計
公立学校 1045 1556 2601
私立学校 133 59 192
合 計 1178 1615 2793

 

  表 5.9:小学校教員の取得資格

取得資格 公立学校 私立学校
女性 男性 合 計 女性 男性 合 計
中等教育修了 0 0 0 53 22 75
ディプロマ(1) 100 94 194 3 0 3
バチェラー(2) 842 1181 2023 67 29 96
修士号 52 201 253 4 5 9
大学院ディプロマ(3) 51 80 129 6 3 9
総合計 1045 1556 2601 133 59 192

 (1) ブータンの高等教育機関で、通常2年~3年かけて取得できる卒業資格

 (2) ブータンの高等教育機関で、通常4年かけて取得できる卒業資格 (学士)

 (3) ブータンの高等教育機関のバチェラーの資格を取得後、さらに1.5から2年かけて取得できる卒業資格

  公立および私立の小学校で教える教員の最高レベルの資格は修士号である。 公立学校の教員の最大数は学士(バチェラー)(2023人の教員)を持っており、公立学校の教員の最少の資格は、129人の教員が保持している大学院ディプロマである。

 私立小学校の教員では学士号(バチェラー)を一番多くの教員が持っており(96人)、私立学校の教員で、卒業証書(ディプロマ)の資格の教員が、最も少なく3人である。 全国的に、平均して、ほとんどの小学校の教員は学士号(バチェラー)を持っていると言える。

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