ジョモツァンカの教訓(社説)

2020年5月5日

 ジョモツァンカ・ドゥンカク (サンドゥプ・ジョンカ) は(新型コロナウィルス感染対策の)厳しい制限下にある。インドの封鎖はすでに、そのドゥンカク(地方行政のゾンカクの下部地区名であり、ブータン全体で16のドゥンカクがある)に影響を与えている。地方自治体によるメディア上の非公式な言論統制があり、インドのアッサム州とアルナチャル・プラデシュ州との国境に隣接するブータンの町は恐れている。

 コロナウイルスが陽性であると疑われた店主のニュースが、口コミで素早く広まったため、遠く離れた町は、より遮断されることになった。地元の指導者へ電話をすることさえ、警戒して拒否された。

 町内では、感染疑いのある人の家族が、非難を浴びていることが知られている。

 1度目のPCR検査を受け、2度目の検査では、より信頼性の高いPCR検査を受けて陰性の結果が出た店主は事件の前には、町で人気のあった店を経営している。家族は汚名を着せられたと感じており、店は顧客を失った。ソーシャルメディア上で、その家族や親戚が嫌がらせを受けていると報告されている。

 即効検査キットで店主が陽性反応を示したとメディアが公表したことは、ジョモツァンカの地域住民やそれ以外の多くの人々を混乱させた。 PCRの再検査で得られた新しい情報は、残念ながら、騒ぎ立てている人々を鎮める事が出来なかった。

 報道はデマで、メデイアは人々にパニックを引き起こすべきではなかったと、メデイアを非難する人々さえ現れ、懸念が高まっている。実際には主要なメディアが、そのニュースを嗅ぎ付けるずっと前に、すでにソーシャルメディアで流れていた。ウィーチャット (Wechat) やフェースブック (Facebook) 上の口コミで素早く広まっていた。事実であることを検証もされず、情報源も特定されていなかった。新聞や国営テレビは、保健省で確認し、一部は保健大臣に確認をした上で、そのニュースを伝えた。

 特にそのニュースの全体を読まなかった場合、ある程度のパニックを引き起こしたに違いないが、そのニュースはメディアにとってではなく、コロナウイルスとの戦いの真っ只中にある国にとって重要であった。

 輸入感染は、強制検疫システムによって十分に制御され、王陛下、政府、および保健省らの配慮が、今日、国内での感染を防いでいる。旅行歴がなくても、地域社会内で感染が広がることのリスクについては誰もが知っている。

 ジョモツァンカは、昨日までに43症例の陽性が確認されたアッサム州と国境を隔てて隣接している。ゲレフの町に近いボンガイガオン (インド) は、危険区域にあり、西部では、ラモイジンカ (ダガナ) からそれほど遠くないアリプルドゥアル (インド)で、最近1日に4件の陽性の症例を検出した。

 誰もが警戒する必要がある。 即効検査キットの結果が誤った警告だったとしても、それは良い警告であった。地域社会で1つの感染が発生した場合でも、人の移動や集まりは制限され、ビジネスが直ちに閉鎖され、さらにロックダウンさえ直ちに実施されるべきである。

 ジョモツァンカは恐怖を経験した事により、今は、より準備が整っていると思われる。アッサムと共有する穴だらけの国境を考えると、私たちは危険を冒すことはできない。最近の事件は、地域社会や地元の指導者にとって良い訓練になったであろう。

 私たちは、Covid-19のテストを受けたというだけで、感染者として決め付けてはいけない。これらの多くは、無知から生じるものである。だからこそ、教育とコミュニケーションが必要である。メディアに話をしない、または人がメディアに話そうとするのを、思いとどまらせることは、何の役にも立たない。

 隔離病棟や検疫施設から、および病気の回復からの体験談を伝える人々がいる。 Covid-19は人種、宗教、国籍との関連性はないことを理解すると、私たちの他人に関する寛容さの程度は高くなる。早期に感染が発見されれば、治る病気である。

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