タシヤンツェで冬虫夏草が消えていく

2020年8月11日

採集家は採り過ぎと気候変動の所為とする

ネテン・ドルジ | タシヤンツェ

 何週間にもわたる天候の予測のつかない変化に勇敢に立ち向かい、2人の子供たちから離れた後、チェキさんはがっかりしながら山から帰宅した。遠くのタシヤンツェのターフェル村から、2人の母親が冬虫夏草を集めに行ったが、2週間で採取できたのは150個だけであった。

 「2004年に菌類の収集が合法化されてから最悪の年です」と、チェキさんは言った。ちょうど昨年、チェキさんは同じ時期に、ほぼ3倍の量の冬虫夏草を集めた。チェキさんは、まだ良い方だった。何人かは、カラで帰宅した。

 真菌を17年以上収集してきたドマン・ツェリン氏(38歳)は、1日あたり15〜20個の菌を見つけることは、今日では幸運であると考える必要があると述べた。  彼は、7世帯だけが収集する許可を得ていた10年以上前に、1日あたり3,000〜4,000個を収集していたと主張している。

 ロンカーやターフェルの村は、冬虫夏草ビジネスによってもたらされた豊かさによって、変化を遂げてきた。この変化は、新しく建てられた家、車、スマートフォン、テレビセットなどの購入によって、知ることができる。かつては農業のみに依存していた村が、快適な生活を送っている。

 しかし、パンダリンやフェイファイニーのような場所での彼らの富の源は消えて、しかも急速に消えている。冬虫夏草はもうない、とシンフェル村のジャンバさんは言う。彼の息子はパンダリンに採集に行き、ほんの一握りの冬虫夏草を持って戻ってきた。

 「収集している人が多すぎて、収集している人数は増えている」と彼は言った。

 村人たちは、冬虫夏草はもう成長していないか、ごくわずかしか成長していないことを認めている。一部の人は収集を止めた。 「減衰が続くと、冬虫夏草に頼ることができなくなります」と収集家は言った。

 シンフェルの収集家は、直ぐに気候変動を主張し、菌類と収入の減少に対して、収集家の数が増えていると言った。

 「気候変動と撮り過ぎの組み合わせが、収穫衰退の理由である可能性がある」と、本職の収集家であるダンパ・ドルジは述べて、牧草地のほとんどは雪で覆われていたが、それは6月上旬までに溶けると、つけ加えた。

 収集家は経験を通じて、降雪パターンが菌類の成長にどのように影響しているかを知っている。ダンパ・ドルジ氏は、「降雪のパターンが変化して、短時間降らないこともあれば、短時間に厚い積雪があることもあるために、真菌が繁殖しにくくなることもあると述べている。

 収集家は、10年以上にわたって冬虫夏草の採集から生み出された収入にのみ依存しており、遠隔地の村で最も価値のある商品となったと言った。

 ターフェル・チオの議員(ツォグパ)ツェリン・ドルジは、家の数は10年以内に60から83に増加したと語った。 「少数の人々は3つもの家を持っているが、多くは新しい世帯として登録された少なくとも2つの家を所有している」と彼は言った。

 これは、冬虫夏草を収集するための許可が、すべて個人ではなく家庭に発行されたためであると述べた。

 ブンデリン野生生物保護地区についての統計によると、収集されて競売にかけられた最高の冬虫夏草の重量は、2014年に12.5 kg、2015年には5.84 kgであった。2016年には、村人はなんと1.4kgしか収集できなかった。

 公園関係者は、冬虫夏草の減少が気候変動によるものかどうかは、その地域で行われた科学的調査なしでは確認できないと語った。 「生産は毎年変動する」と関係者は言った。収集家は持続可能な収穫方法について知らされた。たとえば、冬虫夏草を2つ見つけたら、1つだけを選ぶように求められている。冬虫夏草が高価になって、現場で何が起こるかを皆が推測している。

 最近、国際自然保護連合(IUCN)は、絶滅危機に瀕している動植物種のリストで、冬虫夏草を「絶滅の危険がある」と記載している。 IUCNによると、過去15年間で過剰収穫により個体数が少なくとも30%減少した。

 タシヤンツェでは、6月24日から1か月間の収集が開始される。しかし、雪に覆われた場所のため、農林省は収集家のために、期間を2週間延長した。

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