最低60%の森林被覆の憲法の規定

2016年7月10日 投書

 最低60%の森林被覆度は、1974年国の森林政策として最初に発表された。それには次のように書かれている。

 ブータンの地球物理的状況と土壌と気候安定の維持の必要性の考察から、国土全体の最低60%は、森林として維持されることを目標とする。

 この政策が草案されたとき、国の中で森林の被覆について利用可能な情報は無かった。今後総合的な調査が行われ、もし森林被覆が60%を下回っていれば、農業に適さなくて、利用可能なすべての土地に、政府は植林をすると、言われてきた。もし、国の森林が60%を越えていることがわかったならば、「指定された余分の森林の面積は、犠牲にすることはないだろう」

 最低60%の森林被覆の規定は、国は以下の例で示されるように、国際的な団体が賞賛した憲法の中に、祭り上げられている。

 5条3項では、政府は、国の自然資源を保存し、生態系の劣化を防ぐために、ブータンの全土の最低60パーセントは、常に森林で覆われることを維持する。

 最初のわが国の森林被覆調査が1976年から1981年に行われた。ほとんど樹木のない国の北部を除いて、全国土の76%が、樹木で覆われていた。1956年から1959年の間で撮られた航空写真に基づくと、56.24%が樹木で覆われ。低木の森が0.9%であり、これらを合わせて、57.14%が森林で覆われていた。(新たな国土面積を38,394平方キロとした。)そのとき以来、7回の国の国土の被覆調査がなされてきた。これらの報告のいくつかは、公表されていない。現在公的に承認されている被覆の数値は、2010年のブータン国土被覆調査から出されたものである。2006年から2009年の間での、衛星写真に基づいたもので、樹木林が70.46%、低木林が10.43%で、合わせて80.89%である。

 過去50年の国土被覆調査は、57.14%から80.89%へと森林被覆の大きな増加を示している。多くの人は、歴史的にいつもその現時点の国が最も緑が多いと考えている。しかし一方、森林被覆は減少していると考える人もいる。森林被覆についての増加か減少かの混乱、または不一致は、広い範囲での一貫性のない森林被覆の定義によるものである。森林の定義が、800以上あると言われている。

 たいていの人々にとっての森林の概念は、木または他の木のような植物で覆われた大きな広がりの土地である。しかし、多くの森林の定義では、木の全くない地域でも、過去に木があったか、将来木が植えられる土地であれば、森林と考えられている。また森林は異なった方法または、異なった度合の専門性により分類されている。 例えば、閉じている森林か開いている森林か、古くからの森林か2次的な森林か、1次的な森林か退化した森林か、自然林か植樹林か、など。

 技術的に見れば、1974年の森林政策における「森の国土」(land under forests)と憲法における「森で覆われた国土」(land under forest cover)とでは、違った世界である。「森の国土」では、国土が定義に使われており、これは木で覆われたエリア、または近い将来では木で覆われないかもしれないものである。これは衛星写真からは決められることではない。一方、「森で覆われた国土」では、調査した時点で、国土を覆っている木の存在があることを示している。それは衛星写真の解析によって決定され、その時点での土地の情報を与える。この点を説明するために、例えば10ヘクタールの森で2010年に伐採し、2013年に植林したとする。国土利用は、2010年の伐採以前は、森林と分類するであろうが、2014年、伐採の後で低木林となる。国土利用と国土被覆は、しばしば混乱して使われる。しかし、それは国土に関する特殊な意味を持っている。

 食料農業機構(FAO)の地域的と広域的なレベルで、森を計算する試みで、加盟国に対して共通の定義を開発した。しかし、それは世界的に広く受け入れられるものではない。気候変動に関する国連枠組み会議(UNFCCC)と生物多様性会議(CBD)は、それぞれ独自の定義を持っている。10%以上の天蓋(canopy)と5メートル以上の高さの木のある0.5ヘクタール以上の広さの土地を森と定義しているFAOの定義を、ブータンは採用している。一時的に、森林収穫と山火事の結果として、予備的な土地ではないが、森に戻ることが期待されるので、森に含まれている。

 現在の森の意義は、木材の生産の観点を強調していることと、環境と社会的な基準を欠いているという点で批判されている。山は壊れやすい生態系の中にあり、土壌浸食と山崩れに対する森の保護機能と保水機能は、大きな価値がある。森はまた同じく、生物の多様性と炭素吸収に価値がある。これらの森の環境保護の機能の重要性は、1974年の国家森林政策と、常に国土面積の最低でも60%は森林であることを維持するという大切な原理を追求する憲法を誘導してきた。

 森のこれらの環境に対する機能を維持し高める努力は、既知の知識の理解と新たな知識の求めることで始めなければならない。良い疑問をもつことは、その問題のより深い洞察を助長する学習の基石である。最低60%の森林被覆政策について妥当な疑問をもつことが無かったので、今まで森林の専門家が思いつかなかったことがいくつかでてくる、例えば、1)木は、森を覆う上で第一に焦点を当てるべきか? 2)他の土地利用である、草地、開放森林と森林でない土地は、土壌、水、生物多様性の保護に役割を持つか? 3)どのように森林被覆を国全体に時間をかけて、広げるべきか? 4)国の自然資源の保護とは、どういう意味をもつか? 5)生態系の劣化を防ぐこととは、どういう意味か?

 森林被覆を増加させる土地は、草地や農業用土地から出てきた。生物多様性の豊富さは、生態系豊富さと同じである。例えば、草地の生態系は、草地だけに茂ることができる特定の種の生息環境である。草地がなくなることは、その種の消滅を意味する。

さらにブータン人の性格と文化は伝統的な土地の農業利用に関連しているので、国の文化的な風景は、人間と野生動物との対立と地方と都市の間の人口移動によって、危機に瀕している。生物多様性の保存の管理では、地勢のレベルで異なった土地利用が要求される。

 我々のすべてが疑いもなく信じることのある部分は、木が多くなればなる程、水がより多く得られるということである。しかし、最近の水文地質学の研究は、この仮説を必ずしも信用していない。森林生態系では、蒸発散量として大口の水を使うことは事実である。森林は流れの水量を増加させるための最上の土地被覆ではないと研究は示している。特に乾燥、または半ば乾燥地帯の生態系においては、そうである。低木と草の土地被覆は、土壌の流出と山崩れを防ぐための森林環境の最も重要な要素である。

 異なった目的と違った規模においては、違う定義が必要とされることは、上で述べたことで明らかである。我々が憲法の規定を、最上の科学と知恵に基づいて、正しく理解するために、我々が最低60%の森林被覆を維持しようとするブータンの流れは、何を意味するか、具体的な国の定義の制定について、国の議論を始めることは重要である。

 

寄稿者 ブンンツオ・ナムゲル(博士)、ブータンeForestグループ

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